《横浜》ベイスターズ観戦ブログ

ベイスターズについて徒然なるままに語ります。

《横浜》四球拒否 ラミレス野球《ベイスターズ》

DeNAベイスターズファンの間ではもはや周知の事実となっているベイスターズ打線の「四球拒否」ですが,「四球拒否」以上に,早打ちと,出塁率の異常なまでの軽視があります。

今回はその指導者たるラミレス監督の現役時代を振り返り,その由来を探ってみたいと思います。 

 

その前に,今回の足がかりとなる衝撃的な発言がラミレス監督からあったので,見てみましょう。

 

ラミレス語録からの引用です。

「今年は確かに四球の方が三振の数よりも多いし、少し変化は見られていると思う。ただ得点圏打率を見ても低いし、2番を打つためには、もう少し安定した成績が必要だと思う。2番よりは6、7番の方がマッチしていると思う」

「今年、われわれがする野球はスモールベースボール的なものが多い。やはりバントなども重要になる。状態が上がってくれば2番という可能性もあるが、今のところあまり考えてはいない」

これは梶谷に対するラミレスの発言ですが,この短いインタビューからも彼の出塁に対するこだわりのなさと,オカルトとも言える得点圏打率への執着を読み取ることができます。

今年の梶谷は打席が少ないながらも出塁率4割弱を記録していますし,昨年も打率こそ2割台前半ですが,出塁率は3割2分以上あります。

梶谷の傾向として球を待つことが多いため,三振が多くなる一方でフォアボールをえらぶことができています。

このような選手はいまのベイスターズにはとても貴重なわけですが,ラミレス監督にはそのスタイルが理解できないようです。

 

また,得点圏打率に関しても,能力のある選手が高いというのには一定の合理性が認められますが(ランナーがいることで投球の幅が狭まるため),打率・出塁率が安定していない選手の得点圏打率はまやかしと言わざるを得ません。

実際に例を挙げてみましょう。得点圏打率の高い選手としてしばしばラミレスが指摘する戸柱と倉本です。

昨年前半著しく得点圏打率が高かった戸柱ですが,後半では得点圏でも打てなくなり,AS前の40打点に対し,12打点に終わりました。

今季序盤の倉本にしても,序盤は4割以上の得点圏打率を誇りましたが,現在では下落する一方で3割を割っています。

もちろん,打撃能力と選球能力の伴っている選手に関しては,必ずしもオカルトとは言えません。昨年までの筒香のような選手が典型例でしょう。通年で高い得点圏打率を維持できます。

しかしながら,監督が「得点圏打率が高い」と言って高い信頼を置いている選手に関しては「たまたま」と言わざるを得ないのが実際でしょう。

 

話が逸れました。

上記のラミレス語録に関してですが,百歩譲って監督の言っていることを尊重したとしても,得点圏の低く,出塁率の高い打者をクリーンナップの後ろに置くのは,得点圏の意味でも,出塁の意味でも二重に間違っているでしょう。

ラミレスに対してしばしば感じますが,結論ありきのうわべだけの議論を展開しているように思います。

ですから,自分の結論に対して都合の良いデータしか見ない。これはデータ野球と呼べるような代物ではありません。もっとも,今回はデータと結論すら整合していないわけですが。

 

スモールベースボールに関しても,バントだ盗塁だと声高に叫ぶ一方で,その最も重要な要素である「出塁」に関しては彼は全く言及していません。

パワーでは通用しないような相手にも,いじらしく粘ってフォアボールで出塁する,これを完全に無視しているラミレス野球は日本で言われているようなスモールベースボールではありません。彼自身の好む野球を都合よく「スモールベースボール」と言っているに過ぎないのです。

 

 

さて,長くなってしまいましたが,ラミレスの現役時代を振り返りましょう。

彼は極度の早打ち,四球拒否だったわけですが,いまのベイスターズの早打ち候補筆頭のロペスと比較してみます。

 

ラミレス 打率.301 出塁率.336 OPS.859 四球割合4.3% P/PA(2012)3.30

ロペス  打率.284 出塁率.324 OPS.833 四球割合5.3% P/PA(2017)3.60

 

P/PAとは1打席あたりの被投球数です。この数字が大きいほど,粘る,いやらしいバッターであるということができます。また,小さいほど早打ち傾向にあるということができるでしょう。

ちなみにロペスと双璧で早打ちの倉本の2017年P/PAは3.51,四球割合は3.3%です。

筒香の昨季のP/PAは4.32,宮崎は3.66,梶谷は4.05です。

このデータを見ればなぜ,ラミレス監督が好球必打の信奉者なのか,それも執拗なほどに信じているのかがわかるでしょう。

彼はロペス・倉本以上の早打ちバッターだったのです。

そして成績を残していますから,当然その方法で他の選手も残すことができるだろうと考えるのでしょう。

しかし,長打力のあるバッターロペスならともかく,ほかの選手が早打ちをむやみにしたところで成績は格段には向上しません。

早打ちにより楽に打てるというメリットはありますが,打撃不振に陥るとフォアボールという選択肢がないために全くチームに貢献できず,凡打の山を築きあげてしまいます。倉本選手の不調時がまさにその典型例でしょう。

もともと早打ちの選手はともかく,そうではない選手にまで早打ちを徹底的に指導するのは不合理でしょう。(倉本に関してはもともと早打ちのバッターでしょうが)

早打ちは立派な戦術の一つではありますが,それしかできないチームでは,淡泊な打撃の連続で負けてしまう打線ができてしまいます。

 

無論,早打ちをやめればチーム状況が改善するとは言いませんが,チームとしては打撃方針を見直してもいい時期に来ているのではないでしょうか。

 

ちなみに,ベイスターズ打線とほぼ真逆と言ってもいい打線がタイガース打線です。阪神打線と横浜打線を見比べてみるとその違いがよくわかると思います。

この両軍の傾向の顕著な違いがベイスターズ阪神への苦戦に表れているようにも感じます。