《横浜》窮地に陥るラミレス采配
今日もなかなか衝撃的な敗戦でした。
いや、寧ろ見慣れた光景といった方がいいでしょうか。
正にデジャブですね。
この10日間で何回見たでしょうか。
打線については特に話すことはありません。
桑原、柴田が見事に自分の役目を果たしました。
欲を言えばもう少し点を取れれば理想的だったでしょうが、それほどに点を取るだけの実力が横浜打線には当然ありませんから無い物ねだりでしょう。
問題は皆さんご存知の通り継投ですね。
前回の記事でも監督の継投について言及しましたが、今回もバリオスの好投は監督にとっては「想定外」だったということでしょう。
それについては確かにバリオスには絶対的な安心感があるわけではありませんから否定はしません。
実際バリオスの代打に石川を送って得点できているわけですし、ファンの間では賛否が分かれるでしょうが、特に問題があるとは言えないでしょう。
問題はその後の継投です。
7回三嶋にスイッチして、順調に2アウトまで来ましたが、その後出塁を許して1、3塁。
ここで左の大城に田中を監督は送ります。
田中が四球を与えてしまうと今度は三上にスイッチ。4失点でした。
私が問題だと思うのは監督が三嶋を見限ったことです。
今シーズンの三嶋は2点リードを任せられない出来なのでしょうか。
逆に三上はフルベースで任せられるのか。
監督は誤った選択をしてしまいました。
三嶋が信頼できず、三上が信頼できるのならば、8回9回にパットンと山崎がいるわけですから回の頭から三上を出せばよかったでしょう。
試合後のインタビューで「あの場面で投げさせるのは彼しかいない」と三上への信頼を口にしていますが、実際の行動とは矛盾しています。
言ってしまえばこれは継投失敗を認めない自己擁護であって、信頼でもなんでもないわけです。
ある時は先発を引っ張ったり、或いは即座に交代させたり、三嶋に1イニングを任せたり、或いはマシンガンに継投したり。
はっきり言って全く一貫性が見られません。
選手が抑えてくれているうちはいいですが、そうではなくなった場合には収拾がつきません。
監督は毎試合「プラン通り」を強調しますが、実際はそうではなく、采配に芯というものがなくなって来ていますから、かなりの焦りがあるでしょう。
インタビューにもそれが如実に表れています。
また、9連戦という状況を考えると今日のマシンガン継投は全く中期的な観点がありませんでした。
二重の意味で否定されるべき今日の継投策。
疲労の溜まる夏場を前にいよいよ監督の尋常ではない継投に陰りが見えて来ました。
《横浜》継投に迷う監督
ラミレス監督が迷っている
そんな印象のこの頃です。
26日は予想外と言ってもいいでしょう。
バリオスが今シーズンでベストの投球を披露してくれました。阪神打線を相手に途中まではパーフェクトなピッチングでした。
相変わらず打線はメッセンジャーを打ちあぐねて1点も取れず。
ファースト中川のエラーも絡んで,バリオスから変わったエスコバーが痛い3ランを被弾してしまいました。
ラジオ解説の谷繁さんやファンの間ではラミレス監督の継投策が強く批判されています。
ただ,今回の継投は難しかったと言わざるを得ないでしょう。
全面的に監督に責任があるわけではないです。
というのも,そもそもバリオスの好投は良くも悪くも「想定外」だったからですね。
今シーズンバリオスが投げた試合は今日を除いて6回。
その中で無失点だったのは6回無失点の4月14日のみ。
3点以上取られている試合が4試合あります。
また,球数に関しても90球を超えたのは3月31日の100球のみです。
当然監督は事前にこれらの情報を頭に入れて試合に臨んでいるはずですから,5回或いは6回でバリオスを交代する心づもりだったはずです。
ところが予想外にバリオスが好投してしまったために,厳しい中継ぎ事情も踏まえて抑えてくれることを期待して7回も任せましたが,バッターを塁に出してしまったために交代。
この先頭打者を出してしまっての交代はベイスターズファンなら今シーズン何度も見ているでしょうから仕方ありません。
良いか悪いかは別にして選手もその起用法に慣れてはいるでしょうから。
ただ,監督が「迷っている」ように感じられるのは勝利が遠のいていることに焦っているのではないか,ということです。
監督が京山,飯塚,バリオスに早めに見切りをつけるというのは何度もあることでしたし,東と違って信用するに足りないからだと説明してもいました。
ところが,先日の中日戦でその東にも早めの見切りをつけてしまったわけです。
結果はみなさんご存知でしょう。三嶋が打たれて東が敗戦投手になりました。
今日の負け方よりもこの中日戦の負け方のほうが致命的です。
監督の方針がブレ始めているというわけですから。
今日のエスコバーや砂田,中日戦の三嶋といい,今までかなりの確率で抑えてきていた中継ぎ陣が疲れを見せ始めています。
遅かれ早かれこのような状況が訪れることは分かっていたわけですが,失敗を踏まえてラミレスが采配を変化させるのか,或いは維持するのか,注目したいと思います。
《横浜》正捕手嶺井不在の現状のベイスターズと交流戦への期待
5/27,投打がかみ合わず敗北。
2連敗で交流戦へと突入することになりました。
嶺井が自打球による負傷で降格してから横浜の捕手不在が様々なところで叫ばれていますが,
今回はその捕手についての私見と,
例年とは異なる交流戦への期待
について書いていこうと思います。
嶺井不在の捕手事情
現状1軍には3人のキャッチャーが帯同しています。
まず高城,そして戸柱と,山本です。
最初に,比べられることの多い嶺井,高城,戸柱の比較をしていきます。
参照するのは昨シーズンと今シーズンの捕手別防御率です。
17年
嶺井 34試合 17勝 7敗 3.10
高城 19試合 9勝 5敗 3.34
戸柱 90試合 29勝 34敗 4.09
18年(5/26まで)
嶺井 30試合 11勝 10敗 3.19
高城 6試合 1勝 1敗 5.28
戸柱 7試合 1勝 5敗 4.85
17年の高城は濱口専属だったので評価が難しいのですが,嶺井は群を抜いていることが明らかだと思います。
横浜スタジアムを本拠地として防御率を3点台前半に抑えるのは非常に難しいことです。
問題は高城と戸柱なのですが,濱口専属というアドバンテージを考慮したとしても,やや高城のほうが優位に立っているのではないでしょうか。
これはラミレス監督も言及していることですが,防御率が4点台に乗ってしまっているのは非常に印象が悪いと言えます。
また,打撃に関しても
低いレベルながらやや高城が戸柱を上回っています。
嶺井 .194 .232 OPS.533
高城 .167 .250 OPS.417
戸柱 .111 .158 OPS.297
戸柱は打てないにしても,出塁率が2割を切っているのはちょっと論外と言わざるを得ません。
監督に褒められることの多い得点圏打率に関しても,.143と不振を極めています。
これらを総合すると,現状では戸柱より高城を優先すべきであると言えます。
ただ,嶺井の場合と違って二人の差は小さなものなので起用が半々になっているのでしょう。
次に,第3捕手山本に関してですが,
彼の昇格は完全に「お試し」といったところでしょう。
というのも彼の2軍成績は打率出塁率ともに1割台で,OPSも3割台です。
はっきり言って打撃に関しては全く1軍レベルではありません。
高城戸柱にすら及ばない打撃です。
ではなぜ昇格したのか。
「西森の方がふさわしいのではないか」
という意見も散見されますが,
恐らく守備を考えてのことでしょう。
山本の立場は第3捕手ですから,よほどのことがない限りバッターボックスに立つことはないでしょう。
一方で,守備で出場するときはおそらく1点の失点も許されないような延長戦などだと思われます。(点差のある状況以外では)
その起用場面を考えた際に西森より山本である,という判断がフロントでされたのだと思います。
また,OPS0.9を記録している西森にしても,僅か20打席しか母数がありませんから,安定して成績を残していると言えるかはこれまでの実績も踏まえるとやや疑問です。
正捕手不在の危機的な状況ですから,バッティングは代打に任せて,守備を固めようという意思が感じられます。
27日の試合のように試合終盤になっても頑なに戸柱に代打を出さないのは全く意味が分かりませんが。
キャッチャー起用の一環で,もう一点指摘します。
キャッチャーの候補が貧弱なのは仕方ないのですが,監督の戸柱6番起用は完全に悪手であると言えます。
OPSで田中が.850,柴田が.652,倉本が.544
といずれにしても戸柱よりは格上です。
6番にOPS0.4台の選手をもってきてしまうと宮崎がまともに勝負されなくなり,
成績が下降してしまうことが予想されます。
或いは9番野手という打順を本格的にあきらめるべきかもしれません。
1番から5番まででチャンスを作っても,これではそのあとが続きません。
大和も出塁率.280,OPS.600程度はあるわけですから,できるだけ良い打者を順につなげていくべきでしょう。
交流戦への期待
期待,といってもパリーグ本拠の試合についてなのですが,
打者の選手層の差
というのが挙げられます。
普段から野手9人がスタメンに入るパリーグと,
スタメンが8人しかいないセリーグでは戦力的にかなりの差があります。
おまけに,加わる一人というのはDHの選手ですから,バッティング能力に非常に長けています。
一方のセリーグにとって,DH制で加わる選手というのはよほど選手層が厚いチームでない限り,普段は控えに甘んじている選手です。
このギャップが直接的にセパの成績差を生む要因であると言えるでしょう。
しかし,DH制で加わる選手がスタメンレベルならば話は変わってきます。
これを実際に行えていたのが,近年の広島や,以前の巨人です。
現在,ベイスターズでは昨年レギュラーに定着した桑原が控えに甘んじています。
また,成績が落ちていますが,監督としては神里という選択肢も考えているでしょう。
交流戦では指名打者に筒香,或いはソトをいれ,センターに桑原,ライトに梶谷を起用できますからかなり戦力的に厚みが出ます。
今回の記事の前半で言及した6番打者問題に関しても,
桑原を入れることが出きれば一時的にではありますが解消するでしょう。
昨年までは,加わるのが後藤であったりシリアコ,下園などだったので層の薄さが露呈していましたが,
今年に関しては例年よりも良い打線で交流戦に臨むことができるのではないでしょうか。
代打陣に関しても,山下や楠本が2軍でOPS.9程度と好調を極めていますから,
結果の出ていない乙坂などと入れ替えするのもありだと思います。
今年のベイスターズは昨年までよりは選択肢がありますから,交流戦,期待したいです。
《横浜》四球拒否 ラミレス野球《ベイスターズ》
DeNAベイスターズファンの間ではもはや周知の事実となっているベイスターズ打線の「四球拒否」ですが,「四球拒否」以上に,早打ちと,出塁率の異常なまでの軽視があります。
今回はその指導者たるラミレス監督の現役時代を振り返り,その由来を探ってみたいと思います。
その前に,今回の足がかりとなる衝撃的な発言がラミレス監督からあったので,見てみましょう。
ラミレス語録からの引用です。
「今年は確かに四球の方が三振の数よりも多いし、少し変化は見られていると思う。ただ得点圏打率を見ても低いし、2番を打つためには、もう少し安定した成績が必要だと思う。2番よりは6、7番の方がマッチしていると思う」
「今年、われわれがする野球はスモールベースボール的なものが多い。やはりバントなども重要になる。状態が上がってくれば2番という可能性もあるが、今のところあまり考えてはいない」
これは梶谷に対するラミレスの発言ですが,この短いインタビューからも彼の出塁に対するこだわりのなさと,オカルトとも言える得点圏打率への執着を読み取ることができます。
今年の梶谷は打席が少ないながらも出塁率4割弱を記録していますし,昨年も打率こそ2割台前半ですが,出塁率は3割2分以上あります。
梶谷の傾向として球を待つことが多いため,三振が多くなる一方でフォアボールをえらぶことができています。
このような選手はいまのベイスターズにはとても貴重なわけですが,ラミレス監督にはそのスタイルが理解できないようです。
また,得点圏打率に関しても,能力のある選手が高いというのには一定の合理性が認められますが(ランナーがいることで投球の幅が狭まるため),打率・出塁率が安定していない選手の得点圏打率はまやかしと言わざるを得ません。
実際に例を挙げてみましょう。得点圏打率の高い選手としてしばしばラミレスが指摘する戸柱と倉本です。
昨年前半著しく得点圏打率が高かった戸柱ですが,後半では得点圏でも打てなくなり,AS前の40打点に対し,12打点に終わりました。
今季序盤の倉本にしても,序盤は4割以上の得点圏打率を誇りましたが,現在では下落する一方で3割を割っています。
もちろん,打撃能力と選球能力の伴っている選手に関しては,必ずしもオカルトとは言えません。昨年までの筒香のような選手が典型例でしょう。通年で高い得点圏打率を維持できます。
しかしながら,監督が「得点圏打率が高い」と言って高い信頼を置いている選手に関しては「たまたま」と言わざるを得ないのが実際でしょう。
話が逸れました。
上記のラミレス語録に関してですが,百歩譲って監督の言っていることを尊重したとしても,得点圏の低く,出塁率の高い打者をクリーンナップの後ろに置くのは,得点圏の意味でも,出塁の意味でも二重に間違っているでしょう。
ラミレスに対してしばしば感じますが,結論ありきのうわべだけの議論を展開しているように思います。
ですから,自分の結論に対して都合の良いデータしか見ない。これはデータ野球と呼べるような代物ではありません。もっとも,今回はデータと結論すら整合していないわけですが。
スモールベースボールに関しても,バントだ盗塁だと声高に叫ぶ一方で,その最も重要な要素である「出塁」に関しては彼は全く言及していません。
パワーでは通用しないような相手にも,いじらしく粘ってフォアボールで出塁する,これを完全に無視しているラミレス野球は日本で言われているようなスモールベースボールではありません。彼自身の好む野球を都合よく「スモールベースボール」と言っているに過ぎないのです。
さて,長くなってしまいましたが,ラミレスの現役時代を振り返りましょう。
彼は極度の早打ち,四球拒否だったわけですが,いまのベイスターズの早打ち候補筆頭のロペスと比較してみます。
ラミレス 打率.301 出塁率.336 OPS.859 四球割合4.3% P/PA(2012)3.30
ロペス 打率.284 出塁率.324 OPS.833 四球割合5.3% P/PA(2017)3.60
P/PAとは1打席あたりの被投球数です。この数字が大きいほど,粘る,いやらしいバッターであるということができます。また,小さいほど早打ち傾向にあるということができるでしょう。
ちなみにロペスと双璧で早打ちの倉本の2017年P/PAは3.51,四球割合は3.3%です。
筒香の昨季のP/PAは4.32,宮崎は3.66,梶谷は4.05です。
このデータを見ればなぜ,ラミレス監督が好球必打の信奉者なのか,それも執拗なほどに信じているのかがわかるでしょう。
彼はロペス・倉本以上の早打ちバッターだったのです。
そして成績を残していますから,当然その方法で他の選手も残すことができるだろうと考えるのでしょう。
しかし,長打力のあるバッターロペスならともかく,ほかの選手が早打ちをむやみにしたところで成績は格段には向上しません。
早打ちにより楽に打てるというメリットはありますが,打撃不振に陥るとフォアボールという選択肢がないために全くチームに貢献できず,凡打の山を築きあげてしまいます。倉本選手の不調時がまさにその典型例でしょう。
もともと早打ちの選手はともかく,そうではない選手にまで早打ちを徹底的に指導するのは不合理でしょう。(倉本に関してはもともと早打ちのバッターでしょうが)
早打ちは立派な戦術の一つではありますが,それしかできないチームでは,淡泊な打撃の連続で負けてしまう打線ができてしまいます。
無論,早打ちをやめればチーム状況が改善するとは言いませんが,チームとしては打撃方針を見直してもいい時期に来ているのではないでしょうか。
ちなみに,ベイスターズ打線とほぼ真逆と言ってもいい打線がタイガース打線です。阪神打線と横浜打線を見比べてみるとその違いがよくわかると思います。
この両軍の傾向の顕著な違いがベイスターズの阪神への苦戦に表れているようにも感じます。